【レポート】第14回うえだ移住テラス ~talk cafe~ ゲスト:久保田明美さん
2024年1月13日(土)、定期イベント「うえだ移住テラス~talk cafe~」を開催しました。
今回のゲストは、上田エリアへの移住をお考えの皆様の就職サポートを手がけて21年のシードジャパン株式会社でキャリアコーディネーターをされている久保田明美さんです。横須賀生まれ、東御市育ち、現在は上田市在住。上田市に移住を考えている方々のお仕事についても日々サポートをされています。
移住希望者の就職支援や若者就職支援プログラムについてお話しを伺いました。
聞き手はAREC専務理事・センター長 岡田基幸です。
――上田市に移住を希望する方への就職支援についてお聞かせください
上田エリアは関東圏からの移住の希望が多いです。住まいを移すだけではなく、転職もしたいという方が多いです。上田エリアの企業で働きたいとう方のサポートをさせていただいております。
上田市さんが参加される東京での移住イベントにお呼びいただき、相談ブースにご一緒させていただくこともあります。お仕事を紹介して欲しいという方にはお話しをさせていただきます。早期退職をし、上田で新たに違う仕事をしてみたいという方、最近はリモートワークが可能で移住先でのお仕事は探していない方もいらっしゃいます。
――最近の求人状況についてお聞かせください
長野県の有効求人倍率(2023年11月分)が1.38倍に対して、東信エリアは1.51倍になっています。東信エリアは10月分が1.42倍だったのでお仕事は数値上からは増えてきています。繋がりある企業様からも「人材が足りない」と切実な思いを耳にします。1年半前は職種によって差がありましたが、今は全体的に人材が足りていないように感じています。
――上田エリアの近年の求人の特徴はありますか
東信エリアは製造業が多い地域です。世界に誇れる素晴らしい技術を持った企業様がたくさんあります。しかし、知名度が高くなく若い方に知られていなくて採用に繋がっていないと感じています。そして、以前は欠員予定が出たら求人をかける企業様が多かったですが、最近は「増員」で求人をかける企業様が増えてきているように感じています。定年で退職される方のボリュームに対して技術の継承をするために前々から若い方に引き継ぐことも求められています。
企業様の考えによるとは思いますが、年齢に関しても募集の幅が広がってきていると感じています。
――人材不足は時期的なこともあるのでしょうか
今は時期に関わらず、慢性的に人材が足りていないと思います。
―新卒、第二新卒、転職組とありますが、近年企業側からの思いの変化はありますか
若い方に入っていただいて長く働いて欲しい思いはあると思いますが、様々な経験を積んできた即戦力になる30代、40代の方を求めている企業様もあります。
――ハローワークをはじめ、たくさんの求人情報が出ている中で、採用が上手な企業の特徴はありますか
20~30代の方は一つの求人票から情報を求めている方が多いです。細かい仕事内容や期待すること、福利厚生などをぎっしりと書かれ、情報量の多い求人の方が安心されるようです。
――仕事探しのコツ、企業の見極めについてお聞かせください
会社の先輩が「求人は生もの」とおっしゃっていました。「生もの」なので直ぐに他の方が手にすることもあります。求人に対して焦らず、諦めずにお仕事探しをしていただきたいです。自分を知って、相手(企業)を知ることが大切だと思います。意外と皆さん「自分の強み」に気づいていないことが多いです。強みを知ることは次の自分のステージ・就職先を見つけることの大切なポイントです。「相手(企業)を知る」ことは、エントリーしたい企業様の今の事情、「なぜ今求人が出ているのか」を知ることです。求人票だけではこの「なぜ」は読み取れません。その点、私たちのような地元のエージェントは企業様と直接繋がりがあるので「なぜ」の部分や事情がわかります。私たちをうまく使っていただきたいです。
――なるほど…移住者にとっても安心ですね
そうですね。特に移住したての方は求人票にある住所だけでは場所や周辺情報等、わからないことが多いと思います。
――移住者の就職支援を行っていて、感じていることはありますか
必ずしも移住前の仕事に絞ってお仕事を探さなくても良いのではないかと思います。
例えば東京で経理の仕事をしていたから、移住後も経理の仕事…というように、職種を限定してしまうと見つかりづらい場合もあります。「今までの経験を違うことで活かせないか」という視点を持つことも大切かなと感じます。弊社でお繋ぎした事例で、関東圏でバスの運転手さんをされていた方が移住後は木材会社のCADオペレーターのお仕事をされています。元々パソコンはご趣味でされていて、移住後は自然豊かな場所で自然に関わる仕事をしたいとのご希望でした。移住前は労働時間も不規則で家族との時間も取れず、続けることは難しく感じていらっしゃいました。また、発酵食品のお店のオーナーシェフだった方が、移住後は微生物バイオメーカーのエンジニアをされている方や住宅メーカ―の営業職だった方は家具会社に転職されました。
移住前のご相談で「資格を取った方がよいでしょうか」というお声もあるのですが、今までのご経験を棚卸することが大切だと思っています。
――なかなか自分だけで経験の棚卸や強みを見つけることは難しい点もあると思うので、コーディネーターの方とお話しをしながら隠れた強みを見つけ出してもらうことも重要ですね。
そうですね。移住してどのような暮らしがしたいかをお聞きする中で、「今までのご経験から○○さんの強みはこういうところではないですか?」「こういう経験を活かせないですか?」というご提案もできます。
――素晴らしいです。人生のコーディネーターですね!
移住のアドバイスや上田地域のことなど、久保田さんの目線からお聞かせください
今の仕事に就いてから「上田地域に移住したい」という方が多くいらっしゃることを知りました。移住希望する方のお話しを伺う中で、長く暮らしている地元の良さを私自身が再発見することも多く、逆に教えていただいていて新鮮な気持ちになります。
移住を希望する方が「上田に来てよかったな」と思っていただけるような住民でありたいですし、そう思っていただけるようにお仕事のサポートもできたらと思います。
ひとつ、車に関してですが…交通機関の利用が便利な地域からの移住希望者から「車はいらないですよね」とおっしゃられることもあるのですが、運転できる方が活動範囲も、楽しいことも増えると思うのでチャレンジしていただきたいです。
――上田市の受託事業の若者就職支援プログラムについてお聞かせください
「わかいこはたらこプロジェクト」は上田市に住民票があり、20代、プロジェクト期間中は未就職であることなどの要件を満たす方が対象です。座学期間中に自分はどんな職業に就きたいのかを考えていただき、その後20日間OJT(職場内訓練)として受け入れていただきます。
――参加された方からはどのような感想が寄せられていますか?
昨年度私が担当した20代の男性は、専門学校卒業後アルバイトをいくつか経験し、年齢的にも正社員で働きたいという希望の方でした。働くにあたっての不安要素は「週5日、8時間働くことができるか」。そうした不安から、なかなか正社員で働こうと思えずにいたそうですが、このプロジェクトに参加し同じ思いを持った仲間と過ごすことで「自分だけではなかった」「自分でもできるかも」と徐々に思考が変わっていったそうです。私たちが担当する企業さんにOJTに行っているので、活躍できるまで寄り添い、伴走します。その方の就職が決まった際には「『みんなが大丈夫だよ、頑張れ』と言ってくれたので頑張れました」との声をいただきました。
【参加者からの質問】
――移住してお仕事を探す方と企業とのマッチングを行う際、個人の強みの他にどのようなことに気をつけてお仕事の紹介をしていらっしゃいますか
移住されて来る方がお仕事に対して何を重要視しているかです。例えば、「家族との時間を持ちたいから残業がない方が良い」や、明確に「こういう仕事がしたい」とやりたい仕事が決まっているなど、その方が大事にしたいことが叶う企業様をなるべくお繋ぎしたいですね。もちろん、企業様から求める事ともうまく合うと良いと思っています。
――私は妻の実家が上田市だったので昨年東京から移住をしました。移住される方が上田市を選ぶ理由はどのようなことが多いでしょうか
パートナーの出身地が上田市や上田市近郊の地域という方は結構多いです。他には山が好きで山に行きやすいから、旅行で何度も来ていて気に入ったという方、「真田丸の影響で」という方もいらっしゃいました。
移住後の在りたい暮らしの実現のため、お仕事探しに寄り添い、伴走してサポートしていただけることはとても心強いと思いました。より良い移住生活を送るためにも、地元に密着したお仕事情報、企業の情報に触れることができることは安心感にも繋がります。
久保田さん、本日は貴重なお話しをありがとうございました。
★ シードジャパン株式会社 https://www.seed-japan.jp/