【レポート】第8回うえだ移住テラス~talk cafe~ ゲスト:宮嶋絵美子さん(石井工務店株式会社/宅建協会上田支部理事)
2023年6月17日(土)、上田市の移住交流サイト「うえだ移住テラス」の定期イベントとして「うえだ移住テラス~talk cafe~」が開催されました。
今回のゲストは宮嶋絵美子さんです。
宮嶋さんは上田市出身で転勤族。大学卒業後、名古屋・東京の店舗設計施工会社にてお店づくりに約10年携わられました。2014年にUターンし、現在は石井工務店株式会社に勤務、不動産も担当。建築 ×不動産の視点や経験を活かし、空き家の利活用やエリアリノベーションに取り組み中。町の拠点「26bldg.」ではイベントや古道具店も運営。R4年度より宅建協会上田支部理事を務めていらっしゃいます。
いろいろな街で暮らしたご経験がある中、上田にUターンされた理由について「上田が好き、地元愛です」「上田城があり、太郎山があり、コンパクトな街並みの中にも城下町らしさもある。自分の居場所はここだなと思いました」とお話しされていました。
上田愛と建物を大切にするあたたかさに溢れる宮嶋さんに上田市の空き家事情、移住と住まいにまつわるお話しを伺いました。
聞き手はAREC専務理事・センター長 岡田基幸です。
――今、どんな空き家が増えてきていますか?
一番多い空き家は築40年~50年経っている木造の物件が多いです。ほとんどが畳の部屋、奥座敷、縁側があって、2階建て…という昭和の中古物件です。廊下でキッチン、お風呂、洗面所、居間が分断されていて今のライフスタイルには合わない間取りの家が多いです。北側に水回りが集中しているので冬は寒いですし、多少のリフォームは必要になると思います。家族3~4人で住むには大き過ぎる物件が多いですね。
――移住希望の方も多く仲介されているとのことですが、どのような方が多いですか?
お仕事の引退が近い方、既に引退されてご夫婦で「農ある生活」「温泉が近くにある暮らし」を考えている方が多いですね。お子様が小学校に入学するタイミングで移住を希望されるご家族やリモートワークが可能で、時々東京に行けば良いという方もいらっしゃいます。
――上田に縁がある方が多いでしょうか?
何かしらの繋がりがあり、時々上田に遊びに来ていた方や、移住のセミナーに参加されていた方、空き家バンクをチェックしていた方が多いですね。
――上田に興味を持ってくださっている方の移住希望の理由は何でしょうか?
やはり、都心に行き来しやすいことと、晴天率ですね。そして、ある程度買い物ができる所があり、人も多すぎず少なすぎず、環境も良くて、野菜も美味しくて…スーパーマーケットの「ツルヤ」がある、というお声が多いですね。
――生活に車はある方が良いと思いますか?
バスや電車もありますが本数が少ないので、1台はあった方が買い物も便利だと思います。
――移住後、農業・家庭菜園をされたいという方が多いと聞きました
通常は、農地法で農地の売買は農業を行っている方しかできないことになっています。しかし、空き家バンクには「農地付き空き家」という種別があり、とても人気です。
――物件の探し方や、相談のポイントはありますか
漠然と「上田に移住したい」だと探し難いので、環境は山が近い方が良い、車の運転が苦手、駅周辺の市街地が良いなど要望がたくさんあれば探しやすくなります。一番は何度も上田に来ていただいて、いろいろな場所を見ていただくことが良いです。朝昼晩、季節ごとの環境を見ていただきたいです。できれば一度賃貸で住み、ゆっくり探すことがおすすめです。
――上田市の地域ごとの特徴はどのように感じていますか
真田地域はインターが近く、都心と行き来しやすく二拠点生活をされる方に人気です。
武石地域はインターからは離れますが、松本方面や美ヶ原、ビーナスラインを行き来する方は良いと思います。のどかな山の風景が広がっています。
塩田地域は田園風景が広がっています。スーパーマーケットも多く、買い物にも便利で人気のエリアです。
丸子地域は企業が多いので、転職される方が住まわれることが多いですね。
上田駅周辺の市街地は街中の雰囲気を楽しみたい方が希望されます。
上田市東西の特性をじっくり見て、暮しに合ったエリアを見つけて欲しいです。
――中古住宅を購入する時のポイントや注意点はありますか
インスペクション(建物状況調査)を行うことで安心して住めると思います。専門業者さんは不動産会社や工務店でも紹介してもらえます。調査済みの住宅もあります。
そして、良いお家だったとしても実際に現地にお越しになり、近所の環境を見て欲しいです。お子さんの通学路で危ないところがないかなど確認していただきたいです。
――戸建ての賃貸物件についてはいかがですか
移住希望の方で戸建ての賃貸を探される方はとても多いのですが…上田市内で戸建ての賃貸物件は少ないですね。今、空き家のセカンドユース事業等、戸建ての賃貸を増やす仕組みが始まっています。
――今後どのように空き家の状況が動いていくと思いますか
これからもどんどん増えていくと思います。上田市でも空き家に手紙を出すなどして、調査を行っています。今まで相談できずにいたけど、手紙がきっかけで空き家バンクに登録する方もいらっしゃるようです。また令和6年4月から相続登記の申請の義務化になることで空き家の状況を更に把握できるようになると思います。
――上田市内で「居抜き物件はありますか」という質問をいただきました
空き家バンクには店舗情報はあまりないので、不動産情報の「テナント物件」「事務所物件」をチェックしていただくと良いと思います。お店をやりたくて移住されてくる方もいらっしゃいます。
* * *
古い建物と新たな暮らしを繋ぐ宮嶋さん。
専門的な知識はもちろん、地元の方の視点と、転居が多かったご経験から移住者の視点をお持ちということも宮嶋さんだからこそ。そして、お話しからも伝わってきた「上田愛」。 移住と住まいにまつわる貴重なお話しを、ありがとうございました。