移住と空き家、空き家の利活用について

文:宮嶋さん

「空き家」というと少しマイナスなイメージもありますが、『 うえだ移住テラス 』をご覧になっている皆様は、どちらかというと「空き家」=中古住宅 、描いている暮らしを実現できる空き家、という視点で情報を求めていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。先日、2023年6月の対談では、「上田の空き家」というテーマを頂いていましたが、上田の住宅事情・地域性や気候風土・修繕の必要性など、主に中古住宅をイメージしながらお話させて頂きました。空き家といっても所有者や管理者が不動産業者に依頼し流通している物件です。

最近はあえて中古住宅を選んでリノベーションしたり、ご自分でDIYしながら住み暮らすことを希望される方もたくさんいらっしゃいますが、「なかなかいい物件に出会えない」「とにかく空き家や古民家をリノベーションして住みたい」「不動産情報やHPに掲載していない建物はないか」というお声もよくあります。

時間はかかるかもしれませんが、移住を希望される方は不動産情報や空き家バンクなどに載っている物件を根気よくチェックすることや、どの地域に住みたいか、どんな暮らしをしたいかをじっくり明確にしていき不動産業者や行政に直接相談してみる、その上でできれば一度賃貸物件に住んでみたりお試し滞在してみることがやはりお勧めです。(ただし、上田は戸建て賃貸が少ないのが現状ですが・・)  住みたい地域に知り合いが増え、そこから物件の話が舞い降りてきたり、土地勘がある程度持てている方が結果的にはスムーズな移住への一番の近道かもしれません。

<↑ 長年空き家だった物件。樹木や雑草で覆われ老朽化も進んでいました。こちらは不動産情報に出て流通していた物件。>

一方で、やはり今問題になっているいわゆる「空き家」。上田にも売却や賃貸にならず、ひっそりと空き家のままになっている建物も数多くあります。こういった物件が市場に出てこないのは、所有者や管理者に様々な事情がある場合が多いです。一番難しいのは所有者がわからなくなっていたり、意思が反映しない状況だったりすると、まだ使える建物であってもなかなか処分も厳しくなります。

ただ、なかにはどこに相談したらいいかわからない、高齢で片付けができず放置している、お金がない、遠方にいてなかなか手をつけられない、手放すのに気持ちの整理がつかないなどの理由でそのままにしているという所有者もいます。そういった空き家や建物を少しでも活かせるように不動産業者として所有者や管理者のサポートをしたり、手遅れになる前になんらかのアプローチができるように努めなければいけないなと考えています。建物の老朽化はあっという間で、5年前に何とかしていれば問題なく次の方に引き渡せたかもしれない建物が、そうではなくなってしまいます。問題をひとつひとつ解決しながら次の方に引き継げる状態にしていくことはとても時間がかかりますが、そういった物件がまた不動産情報に掲載される可能性もあります。

仕事柄、雨漏りがあったり、いわゆるボロボロの物件でもうまく改修して素敵な使い方をしている方を何度も見ています。実際どう直したら、いくらくらいかかるか、使い方の妄想をしながら、適度なリノベーションや改修をして長く使って頂ける方に空き家を引き継いだり、移住のお手伝いをしていければと思っております。

<↑ 先ほどの空き家の改修の様子。古くても使える部分を残しつつ大幅に間取りを変えたリノベーション中>