ありたい暮らしと移住 ―地域との出会いと新たな暮らしの幕開けー

文:サポーターるこさん

移住地との出会い

どのような地域で、どのような暮らしを送りたいか…。
移住地探しは、ありたい暮らしをかなえていく「地域という名のパートナー探し」でもあると感じています。
移住を語るうえで時々登場するワードの一つ「マッチング」。
私は以前婚活事業に携わっていたこともあり、「婚活」と「移住」の共通点を感じます。
(仕事関係等、暮らす地域が決まっている場合の移住は除きます)

上田市民に愛される山、「太郎山」の山頂から望む上田市内。
里山と街の距離が近いことも上田の特徴です。

たとえば、移住を思い描く際に思い描く「自分はどのような環境・地域で暮らすことが心地よいのだろう」という思い…婚活でいえば「自分はどのようなパートナーと居ると心地よさを感じるだろう」「ありたい暮らしとは」。そして、「自分にとっての心地よさ」「大切にしたいこと」とは…。
思い描く「脳内会議」も必要ですが、移住地を決めるにあたり一番大切なことは、希望の地域や気になっている場所に赴き、現地の「空気感」に身を置くことだと思います。インターネットを駆使すれば様々な情報を入手することができ、地域によっては動画で様子を知ることもできます。しかし、実際にその土地に身を置くことでしか得られない感覚は暮らすことになってからも大きく影響すると、上田移住4年目を向かえている今も実感しています。
婚活も実際にお相手に会うことで進んでいきます。プロフィール上やメールだけではわかり合いません。

暮し続ける中で大切にしたい「心地よさ」

春を迎える上田城跡公園。
桜の開花で越冬を実感します!

長野県への移住を決めたきっかけは、東信地域に初めて来た際に見た山々の美しい景色と空気感の心地よさでした。「いつかここで暮らしたい!」と瞬時に思いました。

そこから移住に向けて真剣に向き合い、情報収集を開始。積雪が少ない地域、中でも歴史や文化が根付いている上田市が第一希望でした。交通の利便性、晴天率の高さ等「上田の推しポイント」はいくつもあり、生活環境の面でも最高だと感じています。条件によって感じる暮らしの心地よさと、無条件に感じる地域との親和性のような感覚が暮らし続けることにおいて大切だと思っています。

新たな暮らしへ ご近所付き合いは挨拶が9割 

移住地が決まり、愛犬との引越し、各種手続き、住環境の整え、仕事等…新たな暮らしをスタートさせるためのタスクは膨大でした。今までいくつもの地域へ引越しを経験したことからおすすめしたいことがあります。それは、「先ずは、ご近所へのご挨拶」です。

引越し当日、新居近くの6件のお宅と自治会長さん宅へご挨拶に伺いました。

住まいは比較的住宅が密集している地域なので、ご近所の方々には犬のことも含めて引っ越してきたことを知っていただきたかったです。幸いにも昔、犬を飼っていた方が多く、とても歓迎してくださりました。新たな土地に移住するということは「アウェイ」でのスタート。アウェイの中でも自宅はいち早く「ホーム」にしたいところです。自宅を広い意味でのホームにすることは、ご近所の方々との関係性があってのことだと思います。引っ越し後の挨拶まわりに続き、日々の挨拶も「自分から笑顔で」を心に留めていました。いつの日からか、朝お会いすると「いってらっしゃい」、寒い日には「痛い寒さだね」、桜の頃には「やっと春だね」と声をかけてくださり、何気ない会話から心が温かくなります。今では自宅周辺は「安定のホーム感」を感じられるようになりました。移住当初気になっていた自治会関係も自分のペースを保ちつつ良い距離感で参加できています。

家庭は心の安全地帯であって欲しい

私は父親の仕事の関係で幼少期から中学校入学まで、関東・東海・東北地方と全部で7か所の引越しを経験しました。当時は子ども独自の肌感覚で生活環境の変化を感じ取っていたと思います。そのような経験から、お子さまを連れての引越しをされる際には、家庭内は絶対的な安心エリアであって欲しいと思っています。新たな学校生活は、友達も教科書も地域によっては言葉遣いも、流行りの遊びも異なります。我が家では「住めば都、頑張りなさい」を言われ続け、転校生としての不安感はあまり表現できなかったと記憶しています。(そのおかげでいろいろと鍛えられましたが…)。

移住する際、親御さんは暮らしの変化で生じる子ども独自の感性や心配なことに温かく寄り添い続けて欲しいと切に願います。

一番好きな新緑の頃。
上田の青空と相まって眩しい季節です!

地域を知りたい!好奇心で開拓

上田移住が決まり、家を探しに来た時に撮影。
この一枚から初心を思い出します。

同じ日本でも地域が変わると思いがけない文化や慣習の違いに出会います。そこがまた楽しいところでもあります。違いに出会った時に「前の所ではこうだったのに…」と比較しがちですが、違いを面白がり発見を楽しむと視野が広がり、新たな出会いにも繋がります。わからない事や地域に根差している文化的なことに興味を持って耳を傾け、自分の中の「知りたい!」のアンテナに素直でいることで地域の方とのコミュニケーションが円滑になることにも気づきました。先ずは、自分から心を開いていくこと…。

基本は「郷に入っては郷に従え」のスタンスですが、中には改新して欲しい点もあり、居住年数は少なくても意志を持つ一人の生活者でありたいと思います。

心緩まる居場所探しのススメ

上田市内は真田、上田、川西、塩田、丸子、武石のエリアで紹介されることが多いです。各地域に特色があり、それぞれが魅力的で好きです。
移住後は各地域を車で巡り、お気に入りのカフェ、心落ち着く風景が見られる場所や犬と一緒に行ける公園にも出会えました。どちらの場所も休日のふとした時に行くことができる「とまり木」のような、ほっとできる場所です。

上田にいらっしゃった際はぜひ、五感をフル活用して地域の魅力・宝探しを楽しんでいただきたいです。今ではすっかり上田暮らしが日常となりましたが、まだまだ新たな発見に満ちています!