上田の里山にもクマはいます(サポーター:かっちゃん)

私は上田市で会社員・個人で映像制作をしながら趣味で里山歩きをしています。上田市は四方を山に囲まれていて、気軽に季節ごとの楽しみ方ができます。週末はお弁当を持って里山へ!まさに都会では出来ない休日の過ごし方です。しかし、どんな山にも危険はあります。事前に装備品の準備や情報収集をする心構えが必要です。

今はGoogleマップや登山アプリなどが一般的になり、お互いの経験や写真などが共有できる時代になりました。登山道の入口、ルート、危険個所、所用時間などを調べられます。行動時間から逆算して出発時間を決めたり、休憩に使える時間を計算しておきましょう。細かい事で言えば駐車場はどこにあって何台停められるか・・違法駐車は厳禁です。

ルールを守り安全に十分注意すれば、里山には絶景ポイント、アドベンチャー要素が盛りだくさんです。こんなアクティビティを無料で楽しめていいのかな?とすら思えます(一部、駐車場の料金として協力金を納める山もあります)。だって、どんなアミューズメントパークよりもリアルなんですよ?なんたって木だって岩だってホンモノなんですから・・。都会では味わえない醍醐味です。

しかし山では野生動物に出会う危険性があります。特に今年、令和7年は全国的にクマの出没が相次ぎ、被害者も過去最多となっています。クマが山から下りてくる行動には様々な原因が言われていますが、私のような素人が不確かなことは言えません。上田市周辺で確認されている状況のみをご説明します。

図は、上田市役所森林整備課さんがサイトにあげてくださっているクマの出没情報です。令和7年は11月27日現在では、46件の目撃情報があがっています。令和4年の29件、令和5年38件、令和6年33件、そして今年46件。報告件数は確かに増えているようです。

上田市の北部、山々が多く連なる真田方面にクマの出没が多いのは、よく知られていることです。また、太郎山系が住宅地との境界ギリギリにまで近い秋和周辺でも目撃情報が多いです。それらの地域ではおそらく農作物の被害等に遭われながらも、どうにかして野生動物と共存しているのではないでしょうか。鹿の食害なども多いと聞きます。

また、地図を見ていただければお分かりのように、塩田の独鈷山系、半過の岩鼻周辺でも少数ながら目撃されています。もはや「どの山にもクマがいるだろう」という意識で対処するのがいいと思います。里山歩きを楽しむためには、それを念頭に置いた上での心構えが必要となります。

①早朝や夕方など野生動物が活動する時間帯には山に入らない
 野生動物は夜に活発に行動するようなので、その前後は危険です。私は朝10時ぐらいに登り始めて、正午に山頂で御飯を食べる、ぐらいのスケジュールがいいと思います。

②山に入る時は入山届けを出す(+家族に伝えておく)
 登山口に筆記用具がある場合もありますが、今はスマホから登山届を出せるので、万が一の時の為に提出しておくといいでしょう。家族にも行先を伝えておきましょう。知人向けにSNSで発信しておくのもオススメです。

③単独で入らない
 私は単独で入ることが多いですが・・複数人だと協力し合って危険を回避できるのでその方がいいでしょう。ただ、登山に不慣れな方、装備が不十分な方が同行するとなるとリスクは増します。経験者と装備を整えるのが大前提です。

④クマ鈴を鳴らす、ラジオなど音の出るものを常備する
 これはもう初歩の初歩であり、絶対です。山というのはそもそも野生動物の世界で、私たちがお邪魔する側なのでこちらの存在を知らせるべきです。クマ鈴だけだと、立ち止まってる時や休憩中に音がしなくなるので、ラジオや音楽を鳴らしましょう。

⑤登山道から森に分け入らない
 キノコ採りや山菜採りで山に入る方もいますが、その場合は人が歩く道から分け入って更に野生動物のテリトリーに入る訳ですから、危険度は各段に上がると思います。それに山によってはマツタケなどが自生してますが、それぞれ権利を有する人がいますので、むやみに採ってはいけません。山菜や高山植物も同様、マナーとしていけません。

これらはいずれもよく言われていることですが、基本を疎かにせず徹底することが安全にとって大切です。
また、そもそもの話になりますが登山客が多い山を目指し、人が少ない山には近づかない方が賢明です。私個人としては「知られざる渋い里山」にこそ魅力があり是非行って欲しいのですが、リスクと楽しみを天秤にかけると、やはり命には替えられません。そういう渋い山にはクマが冬眠している冬に行ってみるのはいかがでしょうか!(その際には冬用の安全対策がまた別に必要になりますが・・)

上田市ではアーバンベアと呼ばれるような、市街地にまで平気でやってくるようなクマは確認されておりません。その意味では、人と野生動物との距離が適切に保たれていると言えるのかも知れません。上田市で暮らしているとその絶妙な均衡状態を感じることが多々あります。自然と共生した生活というのは地方ならではの価値と言えるのではないでしょうか。